豆知識
「工場の2階へ重い資材を運ぶのが大変で、スタッフの腰痛が心配…」
「飲食店で食材を運搬する効率を上げたいけれど、エレベーターを設置する予算もスペースもない…」
工場や倉庫、店舗の運営において、荷物の「上下階移動」は業務効率を左右する大きな課題です。
エレベーターの導入を検討しても、その高額な費用や大掛かりな工事に二の足を踏んでしまう経営者様も多いのではないでしょうか。
そんなお悩みを解決する、コストパフォーマンスに優れた選択肢が「簡易リフト」です。
この記事では、簡易リフトの正確な定義から、荷物用エレベーターとの決定的な違い、そして導入によって得られる4つの大きなメリットまでを、専門家が分かりやすく解説します。
「簡易リフトって、本当にうちは導入できるの?」
「法律とか難しそうだけど、大丈夫?」
そんな疑問や不安を解消し、あなたの事業所の課題を解決するための最適な「答え」を見つけるお手伝いをします。
目次
まずは、「簡易リフト」が一体どのような設備なのか、その正体を正しく理解しましょう。
「エレベーターの簡易版」というイメージをお持ちかもしれませんが、法律上は明確に区別されています。
簡易リフトは、「労働安全衛生法(クレーン等安全規則)」という法律に基づいて定義されている昇降機です。
具体的には、以下の条件を満たすものが簡易リフトとして分類されます。
この定義から外れるものは、簡易リフトではなく「エレベーター」として扱われることになります。
簡易リフトは、どんな場所にでも設置できるわけではありません。 労働安全衛生法の適用を受ける「労働基準法別表第一 第一号~第五号」に該当する事業場にのみ設置が可能です。
【設置可能な主な事業場(抜粋)】
つまり、一般のオフィスビルや商業施設、マンションなどには、原則として簡易リフト(労働安全衛生法適用)は設置できません。
第六号以降の農林業や畜産業、商業・理容業(第八号)、金融・広告業(第九号)、映画・演劇業(第十号)、郵便・通信業(第十一号)、教育・研究業(第十二号)、保健・衛生業(第十三号)、接客・娯楽業(第十四号)、焼却・清掃業(第十五号)などは対象外となります 。
ご自身の事業所が該当するか不明な場合は、専門業者に確認することをお勧めします。
簡易リフトの最も重要な特徴は、「人は絶対に乗れない」ということです。
簡易リフトは、あくまで「荷物を運ぶための機械」として設計されています。
エレベーターのような人が乗るための安全装置(カゴの中からの操作盤など)は付いていません。
法律でも、人の搭乗は厳格に禁止されています。
もし人が乗って事故が起きた場合、事業者は労働安全衛生法違反として厳しく処罰される可能性があります。
「荷物と一緒に人も移動したい」という場合は「エレベーター」になりますが、「荷物だけ運べればいい(人は階段で移動する)」という運用が可能であれば、簡易リフトは最強のコストパフォーマンスを発揮する設備となります。
「荷物を運ぶ」という目的は同じでも、簡易リフト、荷物用エレベーター、小荷物専用昇降機(ダムウェーター)には、法律や費用面で大きな違いがあります。
どれを選ぶかで、導入コストや運用の手間が劇的に変わります。
以下の比較表で違いを確認しましょう。
| 比較項目 | 簡易リフト | 荷物用エレベーター | 小荷物専用昇降機 |
|---|---|---|---|
| 適用法律 | 労働安全衛生法 | 建築基準法 | 建築基準法 |
| 人の搭乗 | 不可(厳禁) | 可(荷扱者のみ) | 不可 |
| 設置費用 | 安い | 高い | 安い |
| 確認申請 | 不要 (設置報告書が必要) | 必要 (建築確認申請) | 必要 (建築確認申請) |
| 主な用途 | 工場・倉庫の荷物運搬 | 大型荷物+人の運搬 | 学校や病院の配膳 |
最も大きな違いは、根拠となる法律です。
エレベーターや小荷物専用昇降機は「建築基準法」に基づいて建物の一部として設置されます。
一方、簡易リフトは「労働安全衛生法」に基づいて、工場等の生産設備の一部として扱われます。
これにより、簡易リフトは建築確認申請が不要(※)となるケースが多く、導入の手続きが比較的スムーズに進むというメリットがあります。
(※ただし、建物の構造に関わる大規模な設置の場合は、建築確認が必要になることもあります。専門業者への確認が必須です。)
法律の違いは、コストに直結します。
荷物用エレベーターは、昇降路(通り道)をコンクリートで強固に作る必要があり、本体価格だけでなく建築工事費も高額になります。
対して簡易リフトは、鉄骨の柱を組んで設置する自立式が一般的で、大掛かりな建築工事が不要です。
そのため、トータルの導入コストを荷物用エレベーターの数分の一に抑えることも珍しくありません。
小荷物専用昇降機は、台車ごと運ぶフロアタイプと、扉の開口部の下端が室の床面から50cm以上のテーブルタイプのリフトなどを指します。
小荷物専用昇降機(フロアタイプ)は、簡易リフトと似ていますが、「床面積1平方メートル以下 かつ 天井高さ1.2メートル以下」というサイズ制限があります。
これを超える大きさの荷物を運びたい場合は、簡易リフトの出番となります。
つまり、「小荷物専用昇降機では小さすぎて運べない、でもエレベーターを入れるほどでもない」という絶妙なニーズに応えるのが簡易リフトなのです。
では、簡易リフトを導入することで、あなたの現場には具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。経営視点と現場視点、両方のメリットを解説します。
前述の通り、最大のメリットは初期投資(イニシャルコスト)の安さです。
荷物用エレベーターを新設しようとすると、数百万〜一千万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
簡易リフトであれば、その半額〜3分の2程度の費用で導入できるケースが多く、設備投資の回収期間を短縮できます。
建築基準法の適用を受けるエレベーターは、設置前に役所へ「建築確認申請」を提出し、許可を得る必要があります。
これには数ヶ月の期間と、設計費用がかかります。
一方、簡易リフト(労働安全衛生法適用)は、設置後に労働基準監督署へ「設置報告書」を提出するだけで済む場合が多く、手続きが簡単で、発注から稼働開始までの期間(工期)を大幅に短縮できます。
「すぐに使い始めたい」という現場の要望に、スピーディーに応えられます。
重い荷物をスタッフが階段で運んでいませんか?それは非常に非効率であり、危険です。
簡易リフトを導入すれば、ボタン一つで大量の荷物を安全に運搬できます。
スタッフは階段を往復する必要がなくなり、作業時間が劇的に短縮されます。
さらに、重量物の運搬による「腰痛」などの労働災害リスクをゼロにすることができます。
従業員の健康を守り、長く働いてもらうためにも、リフトの導入は非常に有効な投資です。
簡易リフトは構造がシンプルであるため、エレベーターに比べてメンテナンスにかかる費用(ランニングコスト)も安く抑えられる傾向があります。
定期的な点検は必要ですが、複雑な電子制御部品が少ない分、部品交換の頻度や費用も低減できます。
「簡易リフト」と一口に言っても、用途に合わせて様々なタイプがあります。
ここでは、弊社が取扱っている簡易リフトの特徴をご紹介します。
「パレットごと運びたい」「特殊な形状の荷物がある」「設置スペースが限られている」
そんな特殊なニーズには、アイニチのオーダーメイド型リフト「ハイパーリフト」が最適です。
1cm単位でのサイズ調整や、貫通型といった特殊な扉配置にも対応可能。
あなたの現場にぴったりフィットする、世界に一つのリフトを設計・設置します。
簡易リフトの設置費用は、積載荷重、昇降行程(何階分か)、オプションの有無によって変動します。
あくまで目安ですが、小型の規格型リフトであれば100万円台後半〜、大型のオーダーメイド型であれば300万円台〜が相場となります。
正確な金額を知るためには、専門業者による現地調査と見積もりが不可欠です。
アイニチ株式会社では、無料の現地調査と見積もり作成を行っておりますので、まずはおおよその予算感を知りたいという場合でもお気軽にご相談ください。
実際にどのような現場で簡易リフトが活躍しているのか、具体的な事例をご紹介します。
導入後のイメージを膨らませてみてください。
部品加工工場や食品工場などでは、1階から2階への材料・半製品の移動に簡易リフトが活躍しています。
台車ごとリフトに載せて運搬することで、作業動線がスムーズになり、生産性が向上します。
また、フォークリフトと連携できる仕様にすることで、パレット搬送も自動化できます。
物流倉庫では、トラックバースから2階保管エリアへの商品の上げ下ろしに利用されています。
繁忙期には大量の荷物を素早く移動させる必要がありますが、簡易リフトがあれば少人数でも効率的な入出庫作業が可能になります。
ホームセンターやドラッグストア、大型飲食店などでは、バックヤードでの商品補充や食材運搬に使われています。
スタッフの労力を軽減することで、接客などの付加価値の高い業務に時間を割けるようになり、サービス向上にも繋がります。
簡易リフトは「設置して終わり」ではありません。
安全に使い続けるためには、法律で定められた義務を果たす必要があります。
積載荷重が0.25トン(250kg)以上の簡易リフトを設置する場合、工事開始の30日前までに、所轄の労働基準監督署へ「簡易リフト設置届」を提出する義務があります。
(※アイニチでは、こうした書類作成のサポートも行っております)
労働安全衛生法では、簡易リフトの設置者に対し、以下の定期検査を義務付けています。
これらの検査結果は、3年間保存しなければなりません。
「動いているから大丈夫」と点検を怠ると、重大な事故に繋がるだけでなく、法律違反として罰則の対象となります。
専門業者と「保守契約」を結び、プロの目で定期的に点検してもらうことが、安全と安心を守るための絶対条件です。
最後に、簡易リフトの導入を検討されている方からよくいただく質問にお答えします。
A. はい、乗れません。
構造上、人が乗ることを想定した安全装置(非常止め装置など)が付いていない場合が多く、万が一の落下事故の際に命を守れません。
法律でも厳しく禁止されています。
「荷物と一緒に移動したい」という場合は、必ず「エレベーター」を選んでください。
A. はい、あります。
まず、前述の通り、労働安全衛生法で定められた特定の事業所(工場、倉庫、建設現場など)以外には設置できません。
また、木造の古い建物や、床の強度が足りない場所など、物理的に設置が難しいケースもあります。
A. 機種や現場の状況にもよりますが、現地での設置工事自体は早ければ1日〜数日、長くても1週間程度で完了することが多いです。
エレベーターに比べて圧倒的に短い工期で導入できるのが魅力です。
この記事では、簡易リフトの定義から、エレベーターとの違い、メリット、そして具体的な選び方までを解説しました。
最後に、重要なポイントを振り返ります。
「荷物運びを楽にしたいけれど、予算は抑えたい」。
その悩み、簡易リフトなら解決できます。
「うちの工場にはどのタイプが置けるの?」
「具体的な見積もりが欲しい」
もし少しでも導入を検討されているなら、ぜひ一度、簡易リフトの専門メーカーであるアイニチ株式会社にご相談ください。
私たちは、長年にわたり数多くの現場にリフトを設置してきた実績があります。
お客様の現場を拝見し、最も費用対効果が高く、安全に使える最適なプランをご提案いたします。
現地調査・お見積もりは無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
当社スタッフがお客様の昇降機(エレベーター・簡易リフト・小荷物専用昇降機)の状況(使用年数、故障箇所、不具合)等を伺い、必要であればリニューアル・部品交換も視野に入れた最善策をご提案いたします。
アイニチは、仙台・千葉・埼玉・東京・神奈川・名古屋・大阪・岡山・福岡の全国9箇所の拠点だけでなく、専門会社とパートナーシップを結び、全国すべての都道府県をカバーしています。(一部離島を除く)全国どこでも迅速な対応が可能です。
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