豆知識
築20年を超える建物において、「車いすやベビーカーだとエレベーターに乗りづらい」「ボタンが高くてお年寄りや子どもが押しにくい」といった利用者からの不満の声にお悩みではありませんか?
また、施設の老朽化に伴い、次期リニューアルに向けて「具体的にどのような機能を追加すれば良いのかわからない」「改修にどれくらいの費用がかかるのか知りたい」と情報を探している管理担当者様も多いことでしょう。
この記事では、すべての人が安全で快適に利用できるエレベーターのユニバーサルデザインについて、必須となる具体的な機能や法令基準、そして既存設備を改修する際の手順や費用相場までをわかりやすく徹底解説します。
現在のエレベーターがどれくらい不便な状態かを客観的に見直し、建物の資産価値向上と利用者の満足度アップを両立する「最適なリニューアル計画」を立てるためのヒントとして、ぜひお役立てください。
目次
エレベーターにおけるユニバーサルデザインとは、単なる「障害者への配慮」にとどまらず、年齢や身体能力にかかわらず「誰もが使いやすい空間」を目指す設計思想です。
ここでは、その基本的な考え方と、混同されやすいバリアフリーとの違いについて解説します。
ユニバーサルデザインとは、1980年代にアメリカのロナルド・メイス氏によって提唱された「文化・言語・国籍や年齢・性別・能力などの違いにかかわらず、出来るだけ多くの人が利用できることを目指した建築・設備・製品・情報などの設計(デザイン)」のことです。
この考え方のベースには、以下の「7原則」があります。
エレベーターの設計においても、この7つの原則を基準に様々な機能が開発・導入されています。
「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」は似たような場面で使われますが、そのアプローチには明確な違いがあります。
つまり、エレベーターにおけるユニバーサルデザインは「車いすの方だけ」に向けたものではなく、荷物を持った人、ベビーカーを押す人、小さな子どもなど、すべての利用者にとっての利便性を最初から追求した形と言えます。
建物の上下階を移動するエレベーターは、階段やエスカレーターを利用できない方にとって「唯一の移動手段」となることが多いため、ユニバーサルデザインが最も重要視されるインフラ設備です。
狭い密室空間であり、ボタン操作やドアの開閉といった「機械とのコミュニケーション」が必須となるため、視覚的・聴覚的・身体的なサポート機能が他の設備以上に細かく組み込まれており、ユニバーサルデザインを体現する代表的な設備となっています。
ユニバーサルデザインを取り入れたエレベーターには、具体的にどのような機能が備わっているのでしょうか。
ここでは、利用者の属性(抱えている課題)ごとに、それを解決するための代表的な必須機能を解説します。
車いすを利用する方にとって、エレベーターの乗り降りや方向転換は非常に負担がかかります。
これをサポートするために、以下の機能が導入されています。
目が見えない・見えにくい方でも、一人で迷わず目的階へ移動できるようにするための機能です。
耳が聞こえない・聞こえにくい方に対しては、音に頼らない「視覚的な情報伝達」が不可欠です。
特定の障害がなくても、体力的な不安がある方や、小さな子ども連れの方が安全に使える工夫も重要です。
日本語がわからない外国人旅行者や居住者でも、直感的に操作できるデザインが求められます。
エレベーターをユニバーサルデザイン化するにあたり、感覚で設計するのではなく、法律やガイドラインで明確な基準値が定められています。
ここでは、知っておくべき主要な法令と数値基準を解説します。
高齢者や障害者の移動をスムーズにするために制定された「バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」では、エレベーターに対して2つの基準を設けています。
国土交通省が定めている「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」では、エレベーターの具体的な寸法や設置位置が細かくガイドライン化されています。
【主な推奨基準値の例】
日本の国家規格であるJIS(日本産業規格)においても、「JIS A 4301(乗用エレベーター及び小荷物専用昇降機の寸法)」として、積載量や定員に応じたかごの内寸や、ドアの開口幅の標準的な規格が定められています。
メーカーはこれらの法令やJIS規格を遵守し、誰もが使いやすいエレベーターを設計・製造しています。
ユニバーサルデザインは「使いやすさ」だけでなく、「命を守る安全性」が担保されて初めて成立します。
特に、古いエレベーターをリニューアルする際に必ず確認しなければならない、2つの重要な安全装置について解説します。
戸開走行保護装置(UCMP:Unintended Car Movement Protection)とは、エレベーターのドアが開いたまま、かごが突然動き出してしまうのを防ぐ安全装置です。
過去に発生した痛ましい挟まれ事故を教訓に、2009年(平成21年)の建築基準法施行令改正により、すべての新設エレベーターへの設置が義務付けられました。
ブレーキの二重化や、独立した制御回路によって、万が一ドアが開いた状態でかごが動いた瞬間に、強制的に停止させる仕組みになっています。
地震時管制運転装置は、地震発生時に乗客がエレベーター内に閉じ込められるのを防ぐためのシステムです。
初期微動(P波)をセンサーが感知すると、本震(S波)が到達する前に直ちに運転を切り替え、最寄り階へ自動的に停止してドアを開放します。
乗客の迅速な避難を促す、災害大国日本における必須の安全機能です。
上記の「戸開走行保護装置」や「地震時管制運転装置」は、法改正以前(2009年より前)に設置された古いエレベーターには搭載されていないケースがほとんどです。
このように、「設置された当時の法律には適合していたが、その後の法改正によって現在の最新基準を満たさなくなってしまった状態」を「既存不適格」と呼びます。
違法ではありませんが、利用者の安全を確保する観点から、次期リニューアル工事のタイミングでこれらの最新安全装置を追加し、既存不適格を解消(適法化)することが強く推奨されています。
「今のエレベーターはバリアフリー非対応で不便だけれど、本体ごと入れ替える予算はない…」とお悩みの方に朗報です。
エレベーターは、既存の枠組みを残したまま、機能だけをユニバーサルデザイン対応にアップデート(改修)することが可能です。
ここでは、具体的な改修工事の内容と、費用の目安を解説します。
大掛かりな解体工事を行わなくても、操作パネルを最新のものに交換するだけで、利便性は劇的に向上します。
これらは、エレベーターの頭脳である制御盤やモーターを交換する「制御リニューアル」の際に、オプションとして比較的容易に追加できる工事です。
かご(人が乗る箱)の内装を改修することで、より車いすや高齢者に優しい空間を作ることができます。
※かごのサイズ自体の拡張(広さを変える)は、建物の構造(昇降路の広さ)に依存するため、全撤去リニューアルのような大規模な工事が必要になるケースが多いです。
前述した既存不適格を解消するための安全装置も、制御リニューアルのタイミングで後付けすることが可能です。
モーターに二重ブレーキを搭載したり、制御盤に地震感知センサーを組み込んだりすることで、最新のエレベーターと同等の安全性を確保できます。
ユニバーサルデザイン化を伴うリニューアル工事には、主に2つのパターンがあり、費用と工期が大きく異なります。
【リニューアル工事の比較表】
| 工事の種類 | 内容 | 費用相場(目安) | 工期(目安) |
|---|---|---|---|
| 制御リニューアル | 制御盤、モーター、操作盤などを最新のものに交換。かご枠は既存を再利用。 | 約500万円~ | 約1週間前後 |
| 全撤去リニューアル | 古いエレベーターをすべて解体し、最新機器に入れ替える(かごの拡張など)。 | 約1,000万円〜 | 約1ヶ月以上 |
予算を抑えつつ、車いす用ボタンの追加や最新の安全装置を導入したい場合は、「制御リニューアル」が最も費用対効果が高い選択肢となります。
「うちの古いエレベーターは、具体的にどの機能を追加できる?」「予算内でどこまで改修できるか知りたい」といったお悩みは、ぜひ昇降機の専門家であるアイニチ株式会社へご相談ください。
アイニチは特定のメーカーに縛られない「独立系」のメンテナンス・リニューアル専門企業です。
三菱、日立、東芝、フジテックなど、現在お使いのエレベーターがどのメーカーであっても、当社の熟練エンジニアが培ってきた幅広い専門知識と技術力で、最適なユニバーサルデザイン対応への改修工事を実現します。
昭和29年の創業以来、71年間にわたり利用客の人身事故ゼロという確固たる安全実績を守り続けています。
また、メーカー系とは異なり、中間マージンを省いた適正価格でのご提案が可能です。
安全基準(戸開走行保護装置など)を完璧に満たしつつ、メーカー見積もりと比較してリニューアル工事費用やその後の保守点検費用を約3割程度削減できる可能性があります。
コストを抑えて、安全で快適な最新設備を手に入れることができます。
「車いす用ボタンを後付けできるか」「出入口の幅は基準を満たしているか」など、まずは現状の正確な把握が必要です。
アイニチでは、プロのスタッフによる現地調査とお見積り作成を無料で実施しております。
お客様の施設の用途や、利用者から寄せられている不満の声を丁寧にヒアリングし、過剰な機能は省きつつ、本当に必要なユニバーサルデザイン機能だけを組み込んだ「最も費用対効果の高い改修プラン」をご提案いたします。
まずはお気軽にご相談ください。
エレベーターのユニバーサルデザインとは、車いす利用者から高齢者、小さな子どもまで、すべての人が安全で快適に利用できるように設計された機能や空間づくりのことです。
車いす専用の低い操作盤、後進確認のための背面ミラー、音声案内や手すりといった具体的な機能は、利用者の利便性を飛躍的に高め、建物の資産価値向上に直結します。
築20年を超える古いエレベーターであっても、「制御リニューアル」を行うことで、予算を抑えながらこれらの機能を追加し、同時に「戸開走行保護装置」などの最新の安全基準を満たす適法な設備へと生まれ変わらせることが可能です。
「利用者のためにエレベーターを快適にしたいが、何から手をつければ良いかわからない」とお悩みの管理担当者様は、ぜひ安全実績とコスト削減提案に強みを持つアイニチの「無料現地調査」をご活用いただき、すべての人に優しい施設環境を実現してください。

当社スタッフがお客様の昇降機(エレベーター・簡易リフト・小荷物専用昇降機)の状況(使用年数、故障箇所、不具合)等を伺い、必要であればリニューアル・部品交換も視野に入れた最善策をご提案いたします。
アイニチは、仙台・千葉・埼玉・東京・神奈川・名古屋・大阪・岡山・福岡の全国9箇所の拠点だけでなく、専門会社とパートナーシップを結び、全国すべての都道府県をカバーしています。(一部離島を除く)全国どこでも迅速な対応が可能です。
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