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豆知識

投稿日 2024/06/10
更新日 2024/06/21

天井クレーンの点検とは?点検の種類や法的義務、検査手順について詳しく解説!

天井クレーンの点検とは?点検の種類や法的義務、検査手順について詳しく解説!

工場や倉庫の天井に設置され、重い荷物を軽々と持ち上げてくれる天井クレーンは、まさに力強い存在です。
しかし、その便利さゆえに、点検を怠ってしまうと重大な事故につながる可能性があります。

この記事では、天井クレーン点検の重要性から、具体的な検査内容、費用まで詳しく解説します。
天井クレーンの安全を確保し、大切な従業員の命を守るために、ぜひ最後までご覧ください。

天井クレーンとは?

天井クレーンとは、建物の天井付近に設置されたレール上を走行し、重い荷物を吊り上げたり運搬したりする頼れる存在です。

天井付近に設置されるため「天井クレーン」と呼ばれ、倉庫では主に鋼材や鉄製品など、人力では運べない重い荷物の移動に使われます。
屋外に設置された同様の構造のクレーンも、天井クレーンまたは門型クレーンと呼ばれます。

天井クレーンの種類

天井クレーンには様々な種類がありますが、下記ではその一部をご紹介します。

クラブトロリ式

最も一般的なタイプの天井クレーンで、荷物を吊り上げるトロリと、レール上を移動させるためのクラブで構成されています。一般の機械工場で、機械や部品の運搬によく使われています。

ホイスト式

クラブの代わりに電気ホイストを用いた小型・軽量の天井クレーンです。操作が簡単で、狭いスペースにも設置できます。

製鋼用

製鉄所で使われる特殊な天井クレーンで、高強度・高耐久性に特化しています。

天井クレーンの役割

天井クレーンは、主に以下の役割を果たします。

重い荷物の運搬

人力では運べないような重い鋼材や機械などを、楽々と運搬することができます。

高所への荷物の搬入・搬出

フォークリフトでは届かないような高所への荷物の搬入・搬出も、天井クレーンを使えば簡単に行えます。

作業スペースの有効活用

天井クレーンはレール上を走行するため、床面積を有効活用することができます。

天井クレーンの吊り上げ荷重

天井クレーンは、吊り上げる物の重量によって「吊り上げ荷重(吊り上げ可能な最大荷重)」が異なります。
小型で0.5トン程度のものもあれば、大型で700トン以上のものなど、様々な種類があります。

天井クレーンの操作に必要な資格

倉庫で威力を発揮する天井クレーン。重い荷物を軽々と吊り上げ、運搬してくれる頼もしい存在ですが、安全に操作するためには資格が必要です。

今回は、天井クレーンを動かすために必要な資格について、詳しく解説します。

1. 天井クレーンの操作資格

天井クレーンを操作するには、種類によって、以下の資格や講習修了のいずれかが必要です。

1-1. クレーン・デリック運転士免許

クレーンやデリックの運転に必要な知識と技能を証明する国家資格です。
試験に合格することで取得できます。

限定なし免許とクレーン限定免許など様々な種類の免許があり、それぞれ運転できるクレーンの種類が異なります。

※デリックとは、従来のクレーンとは異なり、本体とウインチ(巻上機)が独立しています。主に港湾での荷役作業や建設現場での資材運搬などに活躍しています。

1-2. 床上操作式クレーン運転技能講習

つり上げ荷重が5トン以上で床上で運転し、運転者が荷とともに移動するクレーンの運転に必要な技能講習です。
つり上げ荷重5トン以上の床上操作式クレーンの運転業務には、クレーン・デリック運転士免許を受けた者または技能講習を修了した者でなければ業務に就かせてはならないと定められています(クレーン則第22条)。

つり上げ荷重5トン以上の床上操作式クレーンを運転することができます。

1-3. クレーン運転特別教育

つり上げ荷重5t未満のクレーン(移動式クレーンを除く)の運転の業務に労働者を就かせるときは、安全又は衛生のための特別な教育をしなければならないことが義務付けられています。

つり上げ荷重能力5トン未満のクレーンおよびつり上げ荷重能力5t以上の跨線テルハの運転ができます。

補足

  • クレーン・デリック運転士免許の方が、運転できるクレーンの種類が多く、運転範囲も広くなります。
  • 床上操作式クレーン運転免許は、つり上げ荷重5トン未満のクレーンに限られます。
  • つり上げ荷重5トン未満のクレーン(移動式クレーンは除く)の運転業務のみの場合は、クレーン運転特別教育を実施すれば可能です。

2. 玉掛け技能講習

天井クレーンに荷物をかけたり外したりするには、玉掛け技能講習の受講が必要です。
クレーンに荷物を安全にかけるための知識と技能を習得することができます。

1日~2日の講習で受講できます。
つり上げ荷重1トン以上の荷物を扱う場合は、玉掛け技能講習の受講が義務付けられています。

補足

  • 玉掛け技能講習は、誰でも受講することができます。
  • クレーン運転免許とは異なり、国家資格ではありません。

資格の取得方法

クレーン・デリック運転士免許は、安全衛生技術センターが実施する試験に合格する必要があります。

玉掛け技能講習などは、一般社団法人日本クレーン協会や都道府県労働局などが実施する講習を受講することで取得することができます。

簡易リフトの操作には資格は不要!

簡易リフトとは、人を乗せることを目的とせず、荷物のみに特化した昇降機です。
コンパクトで設置場所を選ばないため、限られたスペースでも活躍します。

天井クレーンとは異なり、資格は不要で、誰でも簡単に操作できます。

簡易リフトについて詳しく知りたい方はこちら

天井クレーンの点検

倉庫や工場で威力を発揮する天井クレーン。しかし、そのパワーを安全に制御するためには、定期的な点検が不可欠です。

天井クレーン点検の義務

労働安全衛生法に基づき、吊り上げ荷重0.5トン以上の全ての天井クレーンは、1年以内に1回、1ヶ月以内に1回、自主検査を受ける必要があります。

点検の対象となる箇所

点検は、以下の9つの項目について実施されます。

  • ランウェイ部分
    クレーンの走行レールを支える部分。レールや継ぎ目の状態などを点検します。
  • 鋼構造部分
    クレーンの骨組みとなる部分。フレームや桁の状態などを点検します。
  • 走行機械装置
    クレーンを走行させるための装置。走行モーターや減速機の状態などを点検します。
  • 横行機械装置
    クレーンを横方向に移動させるための装置。横行モーターや減速機の状態などを点検します。
  • 巻上機械装置
    荷物を吊り上げたり降ろしたりするための装置。巻上モーターやブレーキの状態などを点検します。
  • 潤滑装置
    各部を円滑に動かすための装置。潤滑油の状態や漏れなどを点検します。
  • 電気関係
    クレーンを動かすための電気設備。ケーブルや配電盤の状態などを点検します。
  • 安全装置
    クレーンを安全に操作するための装置。過巻防止装置や過負荷警報装置の状態などを点検します。
  • 荷重試験
    クレーンの吊り上げ能力を実際に測定する試験。

点検の重要性

天井クレーンは、数100kgもの重量物を運搬したり、過酷な使用環境にさらされたりするなど、大きな負担がかかります。
定期的な点検とメンテナンスは、安全事故を防ぎ、クレーンの寿命を延ばすために不可欠です。

自主検査の実施

自主検査を実施する業者は、厚生労働省通達の「定期自主検査者安全教育要領」に基づいた教育カリキュラムを実施していることが推奨されています。

天井クレーン点検時の具体的な検査内容

工場や倉庫に設置されている天井クレーンは、「一年以内ごとに一回」と「一月以内ごとに一回」、「作業開始前」の3つのタイミングで点検を行う必要があります。

1. 年次定期自主検査

  1. 対象:吊り荷重500kg以上のクレーン
  2. 検査内容
    • 構造部分、機械部分、電気部分の異常の有無
    • ワイヤーロープまたはつりチェーンの異常の有無
    • つり具の異常の有無
    • 基礎の異常の有無
    • 荷重試験
  3. 検査周期:1年以内

2. 月次定期自主検査

  1. 対象:吊り荷重500kg以上のクレーン
  2. 検査内容
    • 安全・警報装置(過巻防止装置、過負荷警報装置など)とブレーキおよびクラッチの異常の有無
    • ワイヤーロープおよびチェーンの損傷の有無
    • つり具(フック、クラブバケットなど)の損傷の有無
    • 配線、配電盤、集電装置、開閉器・コントローラの異常の有無
    • メインロープ、レールロープ、ガイロープの緊結部分の異常の有無、ウインチの据付け状態
  3. 検査周期:1ヶ月以内

3. 作業開始前点検

  1. 対象:全てのクレーン
  2. 検査内容
    • 巻過防止装置、ブレーキ、クラッチおよびコントローラの機能
    • ランウェイとトロリ走行用レール
    • ワイヤーロープが通っている箇所

天井クレーン点検記録

天井クレーン点検において、記録の作成と保存は大変重要な義務です。
クレーン等安全規則第38条では、事業者は自主検査及び点検(作業開始前の点検を除く)の結果を3年間保存しなければならないと定められています。

保存期間

検査記録の保存期間は、以下の表の通りです。(クレーン等安全規則より)

項目第34条
年次定期自主検査
第35条
月次定期自主検査
第36条
作業開始前点検
点検時期1年以内毎に1回1月以内毎に1回作業開始前
実施者事業者の指名した者事業者の指名した者担当運転士
記録年次自主検査表月例自主検査表始業点検簿
第38条
自主検査の記録
3年間保存3年間保存法的にはない
(第36条は除く)

暴風雨後の天井クレーン点検

クレーン等安全規則第37条では、屋外設置のクレーンにおいて、以下の様に定められいます。

瞬間風速が毎秒30メートルをこえる風が吹いた後に作業を行うとき、又はクレーンを用いて中震(震度4)以上の震度の地震の後に作業を行うときは、あらかじめ、クレーン各部分の異常の有無について点検を行わなければならない。

点検内容

点検では、以下の項目について異常がないか確認する必要があります。

  • 過巻防止装置・ブレーキ・クラッチおよびコントローラーが正常に作動するか
  • ランウェイに異常な損傷や変形がないか
  • レールに異常な損傷や変形がないか
  • ワイヤーロープに異常な摩耗や損傷がないか

点検の重要性

暴風雨によって、天井クレーンは思わぬ損傷を受ける可能性があります。
点検を怠ると、重大な事故に繋がる可能性も否定できません。

点検手順

  1. 暴風雨発生後、速やかに点検を実施します。
  2. 点検結果は、記録として残します。
  3. 異常を発見した場合は、直ちに補修または交換を行います。
  4. 点検完了後、正常に作動することを確認してから、通常の業務に移行します。

まとめ

天井クレーンは、倉庫や工場で重宝される存在です。
しかし、その力を安全に発揮するためには、定期的な点検が欠かせません。

この記事では、天井クレーンの種類、操作に必要な資格、点検内容などについて詳しく解説しました。

天井クレーンを安全に運用するためには、点検が不可欠です。
年次自主検査、月次自主検査、作業開始前点検の3種類の点検を徹底し、安全な作業環境を維持しましょう。

また、点検は専門業者に依頼することをおすすめします。
経験豊富な業者であれば、的確な点検を行い、潜在的な問題を発見することができます。

天井クレーンを正しく理解し、適切な点検を行うことで、安全で効率的な作業を実現することができます。
この記事を参考に、天井クレーンに関する知識を深め、安全な作業環境作りに役立ててください!

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