豆知識
あなたは、エレベーターに乗るとき、その仕組みについて考えたことはありますか?
ビルの高層階へもボタン一つでスイスイ移動できるエレベーターは、現代社会にとって欠かせない存在です。
しかし、その背後には、複雑な技術と工夫が隠されています。
「どうやって動いているんだろう?」
「もし故障したらどうしよう?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
この記事では、エレベーターの仕組みを初心者にもわかりやすく解説します。
駆動方式や各部名称、安全機能まで、エレベーターの全てを網羅します。
目次
現代社会において、エレベーターはなくてはならない存在です。
高層ビルはもちろん、駅や商業施設など、様々な場所で人々の移動を支えています。
しかし、普段何気なく利用しているエレベーターの仕組みについて、皆さんご存知でしょうか?
まずは、エレベーターの駆動方式に焦点を当て、それぞれの仕組みを詳しく解説していきます。
ロープ式エレベーターは、最も一般的なエレベーターの駆動方式です。
かごとカウンターウェイトを鋼製のロープで吊り上げ、モーターでロープを巻き上げることで上下動を実現します。
ロープ式エレベーターには、さらに2つの種類があります。
巻胴式エレベーターは、モーターでドラムと呼ばれる円筒を回転させ、そこにロープを巻きつけてかごを昇降します。
シンプルな構造に加え、軽量な部品を使用しているため、全体的にコンパクト設計となっています。
また、巻胴式エレベーターは、ロープの長さが限られるため、高層ビルでの設置には不向きです。
しかし、低層階での利用であれば、そのシンプルさと省スペース設計が大きな利点となります。
油圧式エレベーターは、油圧ジャッキと呼ばれる油圧で動く装置を使ってかごを昇降させる方式です。ロープ式エレベーターに比べて構造がシンプルで、低層ビルや住宅、病院などの施設でよく用いられます。
油圧式エレベーターには、大きく分けて3つの駆動方式があります。
直接式は、油圧ジャッキをかごの直下に設置し、直接押し上げる方式です。
構造がシンプルでメンテナンスが容易ですが、昇降距離が限られるというデメリットがあります。
間接式は、油圧ジャッキをピットと呼ばれる地下室に設置し、カウンターウェイトと呼ばれる重りを介して間接的にかごを昇降させる方式です。
直接式に比べて昇降距離が長くなりますが、ピットが必要となるというデメリットがあります。
パンタグラフ式は、油圧ジャッキとパンタグラフと呼ばれる折りたたみ式のフレームを使ってかごを昇降させる方式です。
間接式よりもコンパクトで設置場所の自由度が高いというメリットがあります。
リニアモーター式エレベーターは、回転運動を直線運動に変換するリニアモーターを利用してかごを昇降させる画期的なエレベーターです。
従来の方式とは異なり、機械室や巻上機が不要となるため、省スペース化と設置場所の自由度が格段に向上します。
さらに、研究開発が進み、釣合おもりに内蔵されている一次側を、かごに内蔵するという革新的な技術が誕生しました。
従来の方式では、かごは昇降路内の二次側に沿って移動していましたが、この新技術が実現すれば、かご自体が一次側として移動することになります。
この技術の進展により、ロープが不要となり、水平・垂直・カーブなど、かごの3次元移動が可能になります。
水圧式エレベーターは、水圧を使ってかごを上下に移動させる、環境にも優しい次世代型エレベーターです。
従来の油圧式エレベーターとは異なり、作動液として水を使用するため、油圧式エレベーター特有の油臭や引火・燃焼の心配がなく、安全に使用できます。
また、水は消防法で定める危険物に該当しないため、機械室や消防設備の設置が必要ありません。
これにより、設置スペースの節約や建築コストの削減につながります。
エレベーターは、様々な部品が連携して動作することで、人々を安全かつ快適に運搬しています。
ここでは、エレベーターの主要な部品とその役割について詳しく見ていきましょう。
巻上機は、エレベーターを動かすための「駆動装置」です。
モーターや減速機、網車などから構成され、ロープ式エレベーターにとってまさに心臓部とも言える重要な部品です。
エレベーターのかごを上下に動かすという重要な役割を担い、その重量は、重たいものなら、なんと約1トン以上にも達します。
制御盤は、エレベーターの頭脳とも呼ばれる重要な装置です。
速度や運転動作などの様々な情報を処理し、安全かつ快適な運行を実現します。
制御盤には、センサーやマイコンなどが組み込まれており、エレベーターの速度や位置を常に監視し、適切な指示を送ります。
メインロープは、かごを吊り上げたり吊り下げたりする重要な部品です。
鋼製のワイヤーロープでできており、非常に高い強度と耐久性を持っています。
メインロープは、エレベーターの安全運行にとって最も重要な部品の一つです。
つり合いおもりは、かごとの重さのバランスを取る重要な部品です。
かごとは反対側に設置されており、メインロープを通して釣り合っています。
かごとのつり合いを取ることで、少ないエネルギーで効率的にエレベーターを駆動する役割を担っています。
テールコードは、制御盤と各部品を繋ぐ電線です。
かごに電力を供給し、制御信号を送ることで、様々な機能を実現します。
エレベーターは、高所へ人を運ぶという高い責任を担っています。
そのため、様々な安全機能が搭載されています。
ここからは、エレベーターの安全を守る8つの機能を詳しく解説し、その仕組みと重要性について理解を深めていきます。
戸開走行保護装置(UCMP)は、エレベーターの安全を守るために設置される二重の安全装置です。
かごが到着すると、かご側の扉に設置されているインターロックスイッチが作動し、乗場側扉のロックを解除します。
つまり、かごが到着していない状態では、たとえ乗場側扉に力が加わっても、インターロックスイッチによってロックが解除されないため、扉が開かないようになっています。
調速機(ガバナー)は、昇降速度を監視し、異常を検知して安全装置を働かせる重要な役割を担っています。
昇降速度は、ガバナーロープと呼ばれるロープが調速機の主輪を回転させることによって伝えられます。
調速機には、遠心力によって外側に開いたり閉じたりする振子が付いています。
昇降速度が早いと振子が開き、遅い場合は閉じます。
もしエレベーターのロープが切れてかごが急降下すると、振子が大きく開いて普段は触れないスイッチに触れます。
このスイッチが作動すると、ガバナーロープが固定され、さらにかごに付いている非常停止装置も作動し、かごの落下をしっかりと防止します。
エレベーターには、行き過ぎ検知システムと呼ばれる安全装置が設置されています。
これは、万が一エレベーターの故障などで、かごが最上階または最下階の停止位置を通り過ぎてしまった場合に、二重の検知システムによって安全に減速または停止させる仕組みです。
非常止め装置は、ロープ切断などの異常を検知すると、自動的にかごの降下を停止させ、乗客の安全を守ります。
エレベーターの定格速度によって、非常止め装置の仕組みは異なります。
緩衝器は、エレベーターのかごやつり合いおもりが、最下階の床などに衝突する際の衝撃を吸収し、乗客やその周囲に対しての安全を守る役割を担います。
緩衝器には、2つの種類があります。
エレベーターには、定員オーバーによる故障や事故を防ぐために、過荷重検知装置と呼ばれる賢いセンサーが搭載されています。
この装置は、かご内の人や荷物の重量を検知し、許容重量を超えた場合、以下のような措置を自動的に講じます。
地震時管制運転装置は、地震発生時にエレベーターを最寄り階で自動停止させ、乗客を安全に避難させるための装置です。
地震の揺れを感知すると、P波と呼ばれる初期微動を検知し、大きな揺れとなるS波が来る前に最寄り階でエレベーターを停止させます。
震度4程度以上の揺れを感知して作動し、最寄り階に到着後、自動的にドアを開けて乗客の避難を促します。
2009年9月に建築基準法が改正され、それ以降に新設するエレベーターには地震時管制運転装置の設置が義務化されました。
エレベーターは、私たちの生活に欠かせない存在です。
高層ビルへの昇降を安全かつ快適に実現するエレベーターの仕組みは、想像以上に複雑で奥深いものです。
この記事では、主要な駆動方式、各部の名称と役割、安全機能について解説しました。
近年では、AIやIoTなどの技術を取り入れた次世代エレベーターも開発されています。
より安全で快適なエレベーターの進化に、今後も目が離せません。
当社スタッフがお客様の昇降機(エレベーター・簡易リフト・小荷物専用昇降機)の状況(使用年数、故障箇所、不具合)等を伺い、必要であればリニューアル・部品交換も視野に入れた最善策をご提案いたします。
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