豆知識
「うちのエレベーターの保守費用、これって適正価格なのかな?」
「毎月のことだから、少しでもコストを抑えたい…」
エレベーターを所有する方であれば、一度はこんな風に思ったことがあるのではないでしょうか。安全を守るために不可欠な保守点検ですが、その費用は決して安いものではありません。しかし、「コストは抑えたい、でも安全性は絶対に譲れない」というのが皆さんの本音のはずです。
実は、エレベーターの保守費用は、契約内容や依頼する業者を見直すだけで、安全性はそのままに、年間数十万円ものコスト削減に繋がるケースも珍しくありません。
この記事では、エレベーターの保守費用について長年携わってきたプロの視点から詳しく解説します。
目次
まず結論からお伝えします。エレベーターの保守費用は、主に「どの契約プランを選ぶか」と「どのタイプの業者に依頼するか」という2つの要素の組み合わせで決まります。この章では、料金相場の全体像が一目でわかる比較表と、契約前に必ず知っておくべき費用の内訳について詳しく見ていきましょう。
エレベーターの保守料金は、大きく分けて「POG契約」と「フルメンテナンス契約」、そして「メーカー系」と「独立系」の保守会社、この4つの組み合わせで相場が形成されています。 以下の表は、一般的な乗用エレベーターを想定した、月額費用の目安です。
契約プラン | メーカー系保守会社 | 独立系保守会社 |
---|---|---|
POG契約 | 約30,000円 ~ 50,000円 | 約15,000円 ~ |
フルメンテナンス契約 | 約40,000円 ~ 60,000円 | 約30,000円 ~ |
この表を見てわかる通り、独立系保守会社のPOG契約が最も安く、メーカー系保守会社のフルメンテナンス契約が最も高価になる傾向があります。なぜこのような価格差が生まれるのか、その理由は後の章で詳しく解説します。
毎月支払う保守料金。その中に一体何が含まれているのか、正確にご存知でしょうか。契約内容を理解するために、基本的な費用の内訳を知っておきましょう。
契約書を確認する際は、どこまでが基本料金に含まれ、何が別途費用となるのかを明確に把握することが非常に重要です。
エレベーターの保守契約には、大きく分けて「POG契約」と「フルメンテナンス契約」の2種類が存在します。このどちらを選ぶかによって、月々の支払い額だけでなく、長期的なコストやリスクの考え方も大きく変わってきます。それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、あなたの施設に合った契約形態を見極めましょう。
POG契約は、その名の通り、定期的な点検(Maintenance)と、消耗品であるパーツ(Parts)、オイル(Oil)、グリス(Grease)の交換を主目的とした保守契約です。
フルメンテナンス契約は、POG契約の内容に加えて、経年劣化によって発生する部品交換や修理費用が、あらかじめ月額料金に含まれている包括的な保守契約です。
「結局、POGとフルメンテナンス、どちらがいいの?」と悩む方も多いでしょう。以下に判断のポイントをまとめました。
重要なのは、エレベーターの状況と、オーナー様(管理組合様)の予算管理の方針です。どちらが一方的に良いというわけではなく、状況に応じた最適な選択をすることが求められます。
エレベーターの保守費用を考える上で、契約プランと並んで非常に重要なのが「どの会社に依頼するか」です。保守会社は、大きく分けてエレベーターを製造している「メーカー系」と、メーカーに属さず独立して保守を行う「独立系」の2種類に分類されます。ここでは、それぞれの特徴、メリット・デメリットを明らかにし、あなたの施設に合った会社を見つけるための客観的な比較ポイントをご紹介します。
メーカー系保守会社とは、三菱、日立、東芝といった、エレベーターの製造も手掛けるメーカー、またはその系列会社のことです。
独立系保守会社とは、特定の製造メーカーに属さず、独立した立場でエレベーターの保守・メンテナンスを専門に行う会社のことです。私たちアイニチも、この独立系保守会社にあたります。
どちらのタイプの会社が優れているというわけではなく、それぞれに長所と短所があります。以下の比較表を参考に、ご自身の価値観や重視するポイントと照らし合わせてみてください。
チェック項目 | メーカー系保守会社 | 独立系保守会社 |
---|---|---|
① 料金 | 高めの傾向 | リーズナブル |
② 技術力 | 自社製品に特化 | 多メーカー対応(※会社による) |
③ 対応速度 | 全国的な拠点網 | 地域密着型で迅速な場合も |
④ 部品供給力 | 純正品で安定 | 独自の供給ルート(※会社による) |
⑤ 契約の柔軟性 | 定型的 | 柔軟性が高い |
⑥ 情報量 | 自社製品に精通 | 複数メーカーの知見 |
⑦ 対応メーカー | 自社製品のみ | メーカーを問わない |
さて、ここまでの知識を元に、いよいよ実践編です。「どうすれば、安全性を維持したまま保守費用を安くできるのか?」そのための具体的なアクションを、4つのステップに分けてご紹介します。ぜひ、ご自身の施設の状況と照らし合わせながら読み進めてください。
何事も、まずは現状把握から。お手元に、現在契約している「保守契約書」と、毎月の「請求書」をご用意ください。そして、以下の4つのポイントを確認してみましょう。
この4点を確認するだけで、冒頭の料金相場比較表と照らし合わせ、自社の費用が高いのか安いのか、おおよその立ち位置が見えてくるはずです。
もし現在の契約が「フルメンテナンス契約」で、かつエレベーターの築年数が浅い(例:15年未満)場合、月額料金の安い「POG契約」への切り替えを検討するのも一つの手です。
ただし、これは故障時の出費リスクを自ら負うことを意味します。安易な変更はせず、修繕積立金の状況なども考慮して慎重に判断しましょう。
現在の契約先が「メーカー系」の場合、最も効果的なコスト削減策となるのが、独立系保守会社への切り替えです。
「品質が落ちるのでは?」と心配されるかもしれませんが、前述の通り、優良な独立系保守会社を選べば、メーカー系と同等かそれ以上のサービスを、より安価に受けられる可能性は十分にあります。
これは、コスト削減において最も重要かつ確実なステップです。現在の契約内容を維持するにしても、切り替えを検討するにしても、必ず最低でも2~3社から見積もり(相見積もり)を取得しましょう。 相見積もりには、以下のようなメリットがあります。
手間を惜しまず相見積もりを取ることが、後悔しない業者選びとコスト削減への一番の近道です。
「独立系も良さそうだけど、どうやって信頼できる会社を選べばいいの?」という疑問にお答えします。価格の安さだけで選んでしまうと、いざという時の対応が悪かったり、技術力が不足していたりして、後悔することになりかねません。安全と安心を任せられる会社を見極めるための、3つの重要なポイントをご紹介します。
最後に、エレベーターの保守契約に関して、お客様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
A. はい、基本的な考え方は全く同じです。ただし、マンションの場合は管理組合の総会での決議など、所有者(区分所有者)間での合意形成プロセスが必要になります。相見積もりの結果や、各社の提案内容を比較した分かりやすい資料を作成し、理事会や総会で丁寧に説明することが重要です。
A. いいえ、基本的には「別途費用」となっているケースがほとんどです。年に一度の法定検査(定期検査報告)は、保守会社の行う「保守点検」とは別の、法律で定められた検査です。ただし、会社によっては法定検査費用を保守料金に含んだプランを用意している場合もありますので、契約時に確認しましょう。
A. それは過去の話か、一部の技術力のない会社の場合です。現在の優良な独立系保守会社は、独自の部品供給ネットワークを確立しており、メーカーを問わずほとんどの部品を調達できます。メーカーが独占しているごく一部の特殊な電子部品などを除き、保守・修理に支障が出ることはまずありません。
A. 信頼できる会社であれば、お客様の意思を尊重せず、強引な営業活動を行うことはありません。
むしろ、お客様が納得いくまで丁寧に説明し、比較検討する時間を与えてくれるはずです。安心して、まずは気軽に問い合わせてみましょう。
今回は、エレベーターの保守費用について、その相場が決まる仕組みから、契約形態や業者の違い、そしてコストを賢く削減するための具体的な方法まで、詳しく解説してきました。
重要なことを繰り返します。保守費用は、ただ安ければ良いというものでは決してありません。 価格だけに囚われて、安全やサービスの質を落としてしまっては本末転倒です。目指すべきゴールは、「あなたの施設に合った、適正な価格で、質の高い安全と安心を手に入れること」です。
そのためにも、まずはこの記事を参考に、現在のご自身の契約内容をしっかりと見つめ直すことから始めてみてください。そして、少しでも疑問や不安を感じたら、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。
私たちアイニチ株式会社は、長年の実績と高い技術力を持つ独立系の保守会社として、お客様一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングし、メーカー系・独立系といった垣根を越えた中立的な視点で、最適な保守プランをご提案します。もちろん、ご相談・お見積もりは無料です。無理な営業も一切いたしません。
適正な保守費用で、これからも末永くエレベーターを安全に利用するために。その第一歩を、私たちがお手伝いします。
当社スタッフがお客様の昇降機(エレベーター・簡易リフト・小荷物専用昇降機)の状況(使用年数、故障箇所、不具合)等を伺い、必要であればリニューアル・部品交換も視野に入れた最善策をご提案いたします。
アイニチは、仙台・千葉・埼玉・東京・神奈川・名古屋・大阪・岡山・福岡の全国9箇所の拠点だけでなく、専門会社とパートナーシップを結び、全国すべての都道府県をカバーしています。(一部離島を除く)全国どこでも迅速な対応が可能です。
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