豆知識
従来のエレベーターには、屋上に設置する機械室が必要でした。
この機械室が、ビルの設計や景観に制限を設けてしまうことも少なくありません。
そこで近年注目を集めているのが、機械室を不要にした「マシンルームレスエレベーター」です。
マシンルームレスエレベーターは、従来のエレベーターと比べてどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
この記事では、マシンルームレスエレベーターの仕組みから、メリット、デメリットまで詳しく解説していきます。
目次
エレベーターには、機械室があるタイプと機械室がないタイプがあり、機械室がないエレベーターは一般的に「機械室レスエレベーター」や「マシンルームレスエレベーター」と呼ばれています。
機械室は、別名「マシンルーム」とも呼ばれ、エレベーターの動力源となる巻上機や制御装置を収めた重要な空間です。
建物の屋上に設置されることが多く、昇降路の真上に位置するのが一般的です。
この機械室は、エレベーターを安全かつ快適に運行するために必要不可欠な役割を担っています。
しかし、その広さはエレベーターシャフトの2倍以上と非常に大きく、屋上に突起を作り出す原因にもなります。
エレベーターの動力源となる機械室は、安全運行を支える重要な空間です。
建築基準法施行令第129条の9では、その広さを昇降路の2倍以上と定めています。
機械室には、巻き上げ機、制御盤、調速機など、エレベーターの運行を司る機器がぎっしり詰まっています。
これらの機器を効率的に配置し、安全な点検やメンテナンスを行うために、十分な広さが求められるのです。
ただし、機器の配置や管理に問題がない場合は、2倍未満でも認められています。
これは、省スペース化や建物の形状などの事情を考慮したものです。
従来のエレベーターには、屋上に機械室を設置する必要がありました。
しかし、マシンルームレスエレベーターなら、その機械室が不要になり、屋上の空間を有効活用できるようになります。
機械室という突起物がなくなるため、建物の高さを最大限に活かせるようになります。
日当たりや眺望の制約が少なくなり、採光や景観設計の自由度が大幅に向上します。
屋上荷重が軽減されるため、建物の構造設計に自由度が増します。
特に高層ビルにおいては、耐震性や耐風性の向上にもつながります。
機械室撤廃によって生まれた屋上スペースを、庭園や太陽光発電設備など、様々な用途に活用できます。
建物の付加価値を高め、環境負荷の低減にも貢献します。
マシンルームレスエレベーターは、従来のエレベーターと比べて省エネ性能に優れています。
コンパクトなギヤレス巻上機を採用することで、消費電力を大幅に削減できます。
マシンルームレスエレベーターは、建築の自由度を広げる一方、従来のエレベーターにはない課題も存在します。
マシンルームレスエレベーターでは、限られた昇降路内に制御盤や巻上機が設置されているため、保守点検員の作業スペースが極めて狭くなります。
この狭い空間での作業は、転倒や挟み込みなどの危険リスクを伴い、作業員の安全を脅かす大きな懸念事項となっています。
マシンルームレスエレベーターは、機械室が昇降路内に設置されているため、騒音や振動が大きくなるという問題があります。
特に、ブレーキ音やファンの音は、従来の機械室付きエレベーターと比べて明らかに大きく、利用者にとって不快な騒音の原因となります。
マシンルームレスエレベーターは、昇降路内に機器を設置するため、夏場の高温の影響を受けやすくなります。
もし昇降路内の温度が40度を超えると、巻上機や制御盤が故障し、エレベーターの停止などのトラブルが発生する可能性があります。
適切な換気や空調設備の設置が必須となりますが、設置場所によっては十分な対策が難しい場合もあり、注意が必要です。
近年、エレベーター業界ではマシンルームレス技術が飛躍的に進化し、建築の常識を塗り替えています。
従来、屋上に設置されていた機械室が不要になることで、省スペース化や設計の自由度向上など、様々なメリットが生まれています。
本記事では、機械室とは何か、マシンルームレスエレベーターのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
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